コンテンツにジャンプ
国立健康危機管理研究機構
感染症情報提供サイト
言語切り替え English

トップページ > サーベイランス > 病原微生物検出情報 (IASR) > ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症の基幹定点医療機関届出情報(感染症サーベイランスシステム)と届出基準変更について

ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症の基幹定点医療機関届出情報(感染症サーベイランスシステム)と届出基準変更について

logo35.gif

ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症の基幹定点医療機関届出情報(感染症サーベイランスシステム)と届出基準変更について

(IASR Vol. 47 p25-26: 2026年2月号)

ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae: PRSP)感染症は, 1999年4月に施行された感染症法で4類定点把握対象疾患, また, 2003年11月の感染症法の改正では5類定点把握対象疾患となった。指定届出機関(基幹定点。病床数300以上の内科又は外科を標榜する病院で, 全国約500箇所)の管理者は, 当該指定届出機関の医師が, 届出基準に合致するPRSP患者と診断した場合には, 届出を月単位で, 翌月の初日に, 性別, 年齢, 検体採取部位について届け出なければならない1-3)。なお, 保菌のみの場合は届出対象外である。

従来の届出基準は, ペニシリンに対して, 微量液体希釈法では最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration: MIC)≧0.125 μg/mL, ディスク拡散法では阻止円径≦19mmが採用されていたが, 国際基準に合わせるため, 2025年4月7日から, 通常無菌的であるべき検体(血液, 腹水, 胸水, 髄液, 等)に対してはMIC≧0.125 μg/mLのままとし, 通常無菌的ではない検体(喀痰, 膿, 尿, 等)に対して≧4 μg/mLとする変更が行われた1)。また, ディスク拡散法は除かれた(表1)。

届出基準を変更した場合, 全体として届出数は40-50%程度に減少することが予測されていた4,5)

今回, 届出基準変更後の報告を確認するため, 基幹定点医療機関で2024年5~10月および2025年5~10月に診断され, 感染症発生動向調査に報告された症例数(いずれも暫定値)について比較した(表2)。

2024年の年間報告数917例のうち, 5~10月に診断された報告数は428例であった。同期間の2025年報告数は170例で, 2024年の0.4倍であった。男女別では2024年は男性が多く報告〔男266例(62%), 女162例(38%), 男女比1.64〕されていたが, 2025年は男性の報告が減少した〔男89例(52%), 女81例(48%), 男女比1.10〕。検体については, 無菌的検体の検出〔2024年43例(10%), 2025年37例(22%), 0.86倍〕に比べ, 無菌的ではない検体が減った〔2024年263例(61%), 2025年96例(56%), 0.37倍〕。年齢群別では0~4歳, 70歳以上の年齢群で減少が大きかった(0~4歳:2024年116例, 2025年36例, 0.31倍。70歳以上:2024年203例, 2025年88例, 0.43倍)。

2025年に届出基準が変更されて以降, 定点報告疾患ではあるが, 確実に届出の傾向は変化している。そのため, PRSPデータの解釈については注意が必要である。

参考文献

  1. 厚生労働省, ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-37-01.html
  2. 厚生労働省, ペニシリン耐性肺炎球菌感染症, 届出票
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/pdf/01-07-06-b.pdf
  3. 国立保健医療科学院, 健康危機管理支援ライブラリー, 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正), 令和7(2025)年3月26日付感感発0326第8号
    https://h-crisis.niph.go.jp/archives/435196/(2025年12月26日アクセス)
  4. 厚生労働省, 厚生科学審議会(薬剤耐性(AMR)に関する小委員会)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_401608.html
  5. 厚生労働省, 第9回薬剤耐性(AMR)に関する小委員会議事録
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45330.html  


  国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所      
   感染症サーベイランス研究部
   応用疫学研究センター

PDF・Word・Excelなどのファイルを閲覧するには、ソフトウェアが必要な場合があります。
詳細は「ファイルの閲覧方法」を確認してください。