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JANISから得られた血液, 髄液および呼吸器検体由来肺炎球菌の薬剤耐性率推移(2018~2023年)

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JANISから得られた血液, 髄液および呼吸器検体由来肺炎球菌の薬剤耐性率推移(2018~2023年)

(IASR Vol. 47 p28-29: 2026年2月号)

厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance: JANIS)検査部門は, 参加医療機関における日々の通常業務で得られた陽性陰性を含むすべての培養検査結果を収集する世界で最も包括的な薬剤耐性サーベイランスの1つである。2023年時点の参加医療機関数は2,752医療機関で, これは全国内医療機関の約33.7%であった。このサーベイランスデータを用いて肺炎球菌の薬剤耐性について検討を行った。重複処理では血液, 髄液および呼吸器検体それぞれで検出患者を集計し, 同一患者から陽性検体が複数あった場合は, 入院外来合わせて最初の検体の薬剤感受性のみを採用した。肺炎球菌のペニシリン感受性は, 令和7(2025)年4月7日に改正された感染症法の届出基準を基に, 血液および髄液検体由来菌では最小発育阻止濃度(MIC)≧0.125 μg/mL, 呼吸器検体では≧4 μg/mLを用いた。メロペネム感受性は, Clinical and Laboratory Standards Institute 2025の基準を基にMIC≧0.5 μg/mLをメロペネム非感性とした。

血液, 髄液, 呼吸器検体由来肺炎球菌検出患者数は, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2020年以降減少を認め, 2023年はそれぞれ2,259名, 173名, 45,509名であった。2018~2023年までの年ごとの入院外来を含めた血液, 髄液および呼吸器由来肺炎球菌のペニシリン耐性率, メロペネム非感性率を図1~3に示す。血液, 髄液および呼吸器由来のペニシリン耐性率とメロペネム非感性率は, すべて2018~2023年にかけて上昇を認めた。ペニシリン耐性率は血液由来肺炎球菌では25.7%から36.2%へ(図1), 髄液由来では31.8%から50.9%へ(図2), 呼吸器由来では, 1.5%から1.9%へ(図3)と上昇を認めた。メロペネム非感性率は, 血液由来では9.5%から17.3%へ(図1), 髄液由来では5.0%から20.9%(図2), 呼吸器由来では15.6%から21.5%へ(図3)と上昇を認めた。ペニシリン耐性では, 65歳以上から検出された血液および呼吸器由来肺炎球菌の耐性率が小児より高かった。逆にメロペネムでは, 0~4歳から検出された菌の非感性率が高く, 特に髄液由来で12.5%から36.0%へと上昇を認めた(図2)。ただし0~4歳までの髄液由来の肺炎球菌検出数は平均19.8例/年と少数であり, 解釈には注意が必要である。

中野らは2020~2022年に小児から検出された肺炎球菌126株を解析し, 肺炎球菌ワクチン血清型に含まれないserotype 15Aと35Bにメロペネム非感性株が多いことを報告しており1), ワクチンでカバーされないserotypeの薬剤耐性が重要である可能性がある。菌株ゲノム解析を含めた継続的な薬剤耐性サーベイランスが望まれる。

参考文献

  1. Nakano S, et al., J Med Microbiol 74: 002105, 2025
    https://doi.org/10.1099/jmm.0.002105

  国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所         
   薬剤耐性研究センター/感染症サーベイランス研究部   
    梶原俊毅           
   薬剤耐性研究センター      
    矢原耕史 北村徳一 平林亜希 保阪由美子 中野哲志 菅井基行

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