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細菌用全ゲノム配列解析ツール「SNPcaster」の開発

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細菌用全ゲノム配列解析ツール「SNPcaster」の開発

(IASR Vol. 47 p16-17: 2026年5月号)

近年, 集団感染調査等の病原細菌の追跡においては, 全ゲノム配列(whole-genome sequence: WGS)解析の活用が世界的に一般化しつつある。WGSは高い識別能を有し, 菌株間の近縁性評価や感染源追跡に有用である一方で, その普及を妨げる要因として情報解析のハードルが挙げられる。細菌ゲノム解析に利用できるオープンソースソフトウェア(OSS)は数多く存在するが, 実際の利用にはコマンドライン操作や情報解析の基礎知識が求められることが多い。また, 依存関係の調整や実行環境の構築を含め, インストール自体が難しい場合も少なくない。一方, 商用ソフトウェアは一般に高価であり, 病原細菌の解析に特化した製品は限られているのが現状である。

こうした課題を解決するために, 病原細菌の全ゲノム配列解析を効率的に実施できるツール「SNPcaster」を開発した。SNPcasterは, BactSNPやSPAdesなど, 実績のある既存プログラムと独自の自動化プログラムを組み合わせ, Docker環境上で利用できるように構築した解析プラットフォームである。ショートリードデータを入力として用い, アセンブリ, 品質評価(QC), 単一塩基多型(SNP)解析までを一連の流れで実行できるよう設計されている。これにより, 利用者は複雑な環境構築や個別ツールの接続を意識することなく, 細菌ゲノム解析を進めることができる。また, NCBI AMRFinderPlusが搭載されており, 薬剤耐性遺伝子に加えて, 一部菌種では病原性遺伝子の検出も可能である。

SNPcasterの利点は, 導入が容易であること, および高精度なSNP抽出が可能であることである。インストールに関しては, Dockerを利用することで, 利用環境ごとの差異を最小限に抑え, 比較的簡便に解析環境を導入できる。また, 利用者向けのマニュアルを整備しており, 初学者でも手順を追って利用しやすいよう配慮している。さらに, 操作やトラブルシューティングを支援する, ChatGPTを利用したAIチャットボット(SNPcaster-GPT, https://chatgpt.com/g/g-69118b0d42f48191906ba605a540cba8-snpcaster-gpt)も用意しており, 解析経験が限られる利用者の負担軽減を図っている。加えて, SNPcasterは高精度な解析を実現しており, 実用性と信頼性の両立を目指したツールとなっている。ソフトウェアはGitHub(https://github.com/leech-rr/SNPcaster)で無償公開しており, 多くの研究機関や検査機関で活用可能である。


  国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所
   細菌第一部    
    李 謙一 森田昌知 山岸敏明 伊豫田 淳 泉谷秀昌 明田幸宏 
  東京都健康安全研究センター微生物部
   久保田寛顕           
  富山県衛生研究所細菌部      
   木全恵子            
  大阪健康安全基盤研究所微生物部  
   若林友騎            
  神戸市健康科学研究所第2衛生研究部
   野本竜平    
  沖縄県衛生環境研究所感染症研究センター
   柿田徹也  
  九州大学大学院医学研究院細菌学分野
   中村佳司

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