沖縄県八重山保健所管内におけるレプトスピラ症患者の届出状況(2025年10月10日時点))

沖縄県八重山保健所管内におけるレプトスピラ症患者の届出状況(2025年10月10日時点))
(IASR Vol. 47 p135-137: 2026年7月号)
はじめに
レプトスピラ症は, 病原性レプトスピラの感染によって起こる急性熱性の人獣共通感染症である。ヒトへの感染は, 保菌動物の尿や, 尿で汚染された水や土壌との接触で起こる。
沖縄県八重山保健所管内では, 2023年に西表島(竹富町)1), 2025年に石垣島(石垣市)2)の河川でレプトスピラ症の集団発生事例が確認された。国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所・実地疫学専門家養成コース(FETP)が保健所の調査支援の一環として, 管内におけるレプトスピラ症の届出状況をまとめたので報告する。
方法
2014年1月1日~2025年10月10日の間に, 八重山保健所管内で感染症発生動向調査に基づき届出がされたレプトスピラ症症例を対象に, 届出内容, 疫学調査および行政検査により得られた情報を記述した。
届出状況
153例が届出され, 各年の届出数は3-21例であった。7~10月に多く, 8月が最も多かった(図)。
男性が125例(82%), 年齢中央値は30歳(範囲:3-83歳)であった。職業は重複含め, レジャーガイド関係が80例(52%), 次いで学生が28例(18%), 農業が12例(8%)であった。居住市町村は竹富町が92例(60%), 石垣市が56例(37%), その他が5例(3%)であった。竹富町ではレジャーガイド関係が多く, 石垣市では学生が多かった(表)。
推定感染原因は河川でのレジャー・労働が136例(89%)であった。
推定感染源が単一日の河川曝露で, 感染源がおおむね特定できた症例は47例で, 創傷ありが23/33例(70%), 肌露出ありが28/28例(100%), ゴーグル着用なしが22/23例(96%)であった。頭までの入水ありが21/41例(51%)であった(有効回答に基づく)。
菌分離により血清群が判明した症例のうち, 推定感染地域が石垣市の21例ではHebdomadisが13例(62%), 次いで, AustralisとSejroeが3例(14%)と多かった。また, 推定感染地域が竹富町の70例ではHebdomadisが27例(39%), 次いで, Grippotyphosaが18例(26%)と多かった。
なお, 期間中に70代男性の死亡例が1例確認された3)。
まとめ
八重山地域では河川レジャーが盛んな夏季にレプトスピラ症例報告が多かった。西表島では河川ツアーが盛んであり, 竹富町でレジャーガイド関係の症例が多かったと考えられる。多くの症例で感染リスクの高い行動をともなう河川曝露が確認された。なお, 本集計では八重山地域で感染し, 管外保健所へ届け出された症例は含まれていない。
八重山保健所では, 管内市町および竹富町観光協会等の協力のもと, 河川レジャーと関連したレプトスピラ症の感染リスク, 予防策について啓発をしてきた4)。本調査から, 特に石垣市では学生症例が多く, 学生向けの普及啓発の必要性が示唆されたように, 地域の発生状況や症例の特徴を踏まえた啓発活動が重要となる。
参考文献
- 沖縄県, レプトスピラ症の集団発生事例, 2023年9月12日
https://www.pref.okinawa.lg.jp/press/press2023/1022243.html - 沖縄県, レプトスピラ症の集団発生事例, 2025年10月16日
https://www.pref.okinawa.jp/press/1034048/1036773.html - 沖縄県, レプトスピラ症による死亡例の発生, 2024年10月17日
https://www.pref.okinawa.lg.jp/press/press2022/1018051.html - 竹富町観光協会, レプトスピラ症にご注意ください, 2021年9月24日
https://painusima.com/7190/
国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所
実地疫学専門家養成コース(FETP)
喜久里昂哉 赤澤奈々
応用疫学研究センター
小林祐介 島田智恵 砂川富正
沖縄県八重山保健所
比嘉幸緒 真玉橋理子 増田ちえみ 竹本のぞみ 大西 真
沖縄県衛生環境研究所
柿田徹也 久手堅 剛 平良遥乃 照屋盛実
