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2025年の日本の新規未治療HIV-1感染者における薬剤耐性変異の動向

2025年の日本の新規未治療HIV-1感染者における薬剤耐性変異の動向

(IASR Vol. 47 p187-190: 2026年10月号)

日本医療研究開発機構(AMED)「国内流行HIV及びその薬剤耐性株の長期的動向把握に関する研究」研究班において, 全国の医療機関の協力のもと, 新規未治療HIV-1感染者の薬剤耐性変異の動向調査を伝播性薬剤耐性サーベイランスとして行っている1)。2025年(1~12月)は313例を対象とし, 新規未治療HIV-1感染者のHIV-1プロテアーゼ(PR)・逆転写酵素(RT)領域, インテグラーゼ(IN)領域の塩基配列情報を収集し解析した。2025年にエイズ発生動向調査で報告されたHIV感染者とAIDS患者の合計(890件)を分母とすると約35.2%に相当する。

2025年新規登録例のPR-RT, IN領域のHIV-1サブタイプ・CRFはB 74.4%, CRF01_AE 15.3%, C 1.6%, CRF07_BC 1.6%, GまたはCRF02_AG 0.6%, A 0.6%, F 0.3%, 他のCRF・URF 5.4%であった。

新規未治療HIV-1感染者のサーベイランスのための薬剤耐性変異(SDRM)保有率の2003~2025年の動向を図1に示す。SDRMのリストは, 世界保健機関(WHO)のワーキンググループにより作成されたリスト2,3)に従った。核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI), 非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI), プロテアーゼ阻害薬(PI), インテグラーゼ阻害薬(INSTI)の4クラスのいずれかのSDRM保有率は, 2025年は8.3%(26/313)であった。

2025年のSDRM保有率の薬剤クラス別内訳はNRTI 5.4%(17/312), NNRTI 2.2%(7/312), PI 0.6%(2/313), INSTI 0%(0/313)であった。変異の内訳を表1に示す。NRTIのラミブジン(3TC)やエムトリシタビン(FTC)に対する耐性変異であるM184V/Iは1件(0.3%)検出された。新規未治療HIV-1感染者におけるM184V/I保有率は2019年以前は0.3%であったが, 2020年以降は0.8%へ増加しており, 2020年以降にM184V/Iが検出された21件のうち10件にHIV曝露前予防(PrEP)内服薬の利用歴があった。その他, 頻度の高かったSDRMのうち, T215C/D/E/S(T215X), K103N, G190Aは, それぞれの変異を保有する配列が分子系統樹上でクラスターを形成している。INSTIに対するアクセサリー耐性変異であるE138Kも同様にクラスターを形成しているが, 2025年は前年に引き続き2年連続で検出されなかった。その他, SDRMにリストされていないものの, 1例以上認められた耐性関連変異でStanford HIV Drug Resistance Database Ver 10.24)において単独で耐性スコアのある耐性関連変異を表2に示す。昨年までのVer 9.8でのリストと比較し, Ver 10.2ではIN領域のL74I, V151Iなどに耐性スコアが与えられ, 今回集計対象となっている。また, PR, RT, IN領域の変異に基づくStanford HIV Drug Resistance Database Ver 10.2による耐性判定を図2に示す。Low-level以上の耐性(penalty score≧15)と判定された割合はDRV/r 0%, ABC 1.0%, TDF 0.6%, 3TC 1.0%, ISL 0.3%, DOR 1.0%, RPV 2.9%, BIC/DTG 0%, CAB 0%, RAL 2.9%であった。

M184V/Iの近年の増加は, PrEP開始前にHIV検査を確実に行うことと, 定期的なHIV検査を受ける必要性を示す。国内流行株の動向の変化とともに, PrEPの普及, 新規薬剤の普及, 抗HIV薬の使用動向等の影響を受け, 本邦の薬剤耐性動向は変化していく可能性があり, 引き続き注視する必要がある。

本研究は, AMEDエイズ対策実用化研究事業「国内流行HIV及びその薬剤耐性株の長期的動向把握に関する研究」(25fk0410072, 26fk0410072)により行われた。研究班の分担・協力機関をはじめ, 多くの医療機関の先生方, HIV陽性者の皆様にご協力をいただいたことを感謝いたします。

参考文献

  1. 薬剤耐性HIVインフォメーションセンター
    https://www.hiv-resistance.jp/research01.htm
  2. Bennett DE, et al., PLoS ONE 4, e4724, 2009
  3. Tzou PL, et al., J Antimicrob Chemother 75: 170-182, 2020
  4. Stanford University HIV DRUG RESISTANCE DATABASE, HIVDB ALGORITHM UPDATES Version 10.2 update 2026-04-26
    https://hivdb.stanford.edu/page/algorithm-updates/

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