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ハンタウイルス肺症候群

更新日 (last updated):2026年5月22日

これまでHPSに関する報告は北米での事例からの知見が中心であり、今般のクルーズ船におけるアンデスウイルスによるHPS事例を契機に、最新の知見に合わせて整理、更新した。

概要

ハンタウイルス肺症候群は、オルソハンタウイルス属のウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は病原体を保有するげっ歯類の排泄物を含む粉じんの吸入である。発熱や咳、筋肉痛などの症状出現後、急速に進行し、死亡することがある。

病原体

病原体はハンタウイルス科オルソハンタウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスである。北米、中南米に生息するげっ歯類を自然宿主とする。

疫学

海外では1993年に米国で発見されて以降、北米、中南米で患者発生の報告がある。

日本国内では患者発生の報告はない。

感染経路

主な感染経路は、病原体を保有するげっ歯類による咬傷、排泄物を含む粉じんの吸入、汚染された食物の喫食などである。ハンタウイルスのうちアンデスウイルスのみ濃厚接触によるヒト-ヒト感染の報告がある。

臨床像

潜伏期間は1週間から7週間(通常2週間程度)。発熱や咳、筋肉痛などを呈し、嘔吐や下痢を伴うこともある。急速に症状が進行し、呼吸不全、循環不全を呈し死亡することがある。

致命率は10%から50%程度であり、原因となるウイルスによって異なる。

病原体診断

全血、血清、血漿、唾液、鼻咽頭拭い液、組織からのウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子の検出、血清学的検査による。

治療

特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。

予防法・ワクチン

流行地域ではげっ歯類との接触を避ける。糞や尿で汚染された粉じんを吸わないよう、環境を清潔に保つ。食品は蓋などをして適切に保管する。アンデスウイルスでは感染者との食器やタバコの共用、キスや性的接触などの濃厚接触を避ける。
国内で承認されたワクチンはない。

法的取り扱い

感染症法における、四類感染症に定められている。

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