ハンタウイルス肺症候群
更新日 (last updated):2026年1月28日
概要
ハンタウイルス肺症候群は、オルソハンタウイルス属のウイルスを病原体とする感染症である。主な感染経路は病原体を保有するげっ歯類の排泄物を含む粉じんの吸入である。発熱や咳、筋肉痛などの症状出現後、急速に進行し、死亡することがある。
病原体
病原体はハンタウイルス科オルソハンタウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスである。北米、中南米に生息するげっ歯類を自然宿主とする。
疫学
海外では1993年に米国で発見されて以降、北米、中南米で患者発生の報告がある。日本国内では患者発生の報告はない。
感染経路
主な感染経路は、病原体を保有するげっ歯類による咬傷、排泄物を含む粉じんの吸入、汚染された食物の喫食などである。
臨床像
潜伏期間は1週間から5週間程度(通常約2週間)。発熱や咳、筋肉痛などを呈し、嘔吐や下痢を伴うこともある。急速に症状が進行し、呼吸不全を呈し死亡することがある。致命率は約40%から50%である。
病原体診断
血液、肺組織からのウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子の検出、血清学的検査による。
治療
特異的な治療法はなく、対症療法が中心である。
予防法・ワクチン
流行地域ではげっ歯類との接触を避ける。糞や尿で汚染された粉じんを吸わないよう、環境を清潔に保つ。食品は蓋などをして適切に保管する。
国内で承認されたワクチンはない。
法的取り扱い
感染症法における、四類感染症の全数把握対象疾患に定められている。
