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国外航行中のクルーズ船におけるハンタウイルス感染症事例について

本文書では、国内外の保健機関や研究機関が発表した公式文書に基づいた情報が記載されています。そのため、報道機関向け会見等での発表情報は含まれていません。 国内外の保健機関や研究者が調査中のため、本文書の公開日から情報が大きく更新されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。


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2026年5月6日時点

ハンタウイルスについて

ハンタウイルスは、ハンタウイルス科オルソハンタウイルス属のウイルスの総称である。ユーラシア大陸に分布するハンタウイルスは腎症候性出血熱を、南北アメリカ大陸に分布するハンタウイルスはハンタウイルス肺症候群を引き起こすことが知られている。腎症候性出血熱については、日本国内では1970年代から1980年代に実験用のラットから感染した報告はあるものの、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の施行された1999年以降国内での感染事例は報告されていない。なお、ハンタウイルス肺症候群についてはこれまで日本国内での患者発生の報告はない。

ハンタウイルスは本来げっ歯類が保有するウイルスであり、ヒトでは主にげっ歯類の唾液や排泄物との接触や排泄物を含む粉塵の吸入、排泄物で汚染された環境への曝露で感染する。基本的にヒトからヒトへ感染するものではないが、例外的に、アルゼンチンとチリで、ハンタウイルスの一種であるアンデスウイルスのヒト-ヒト感染事例が報告されている。ただし、これらは濃厚な曝露による飛沫・直接接触を介した伝播であり、適切な隔離と接触者管理により伝播の終息に至ったと報告されている。

本事例について

2026年5月2日、南大西洋上を航行中のクルーズ船におけるハンタウイルス感染症の発生がWHOに報告された。船は4月に南米、南極圏を航行し、5月6日時点でアフリカ沖に停泊中であり、今後カナリア諸島へ向かう予定とされている。WHOによると5月4日時点でハンタウイルス感染症の症例7例(確定例2例、疑い例5例)が報告され、うち3例が死亡している。確認されている症例は当該クルーズ船関連に限定されている。

感染源等の特定のため疫学調査や接触者の調査が今後必要であるが、乗船者の適切な管理(感染管理・接触者調査・健康観察が実施されることによりさらなる感染拡大リスクは限定的にとどまると考えられる。 

日本での流行の可能性について

ハンタウイルスの自然宿主は、ウイルスの種類ごとに特定のげっ歯類が決まっており、自然宿主となるげっ歯類が生息していない地域にウイルスが入り込んでも、自然界の感染サイクルは成立しない。北米ではシカネズミ、南米ではピグミーライスラットなどがウイルス保有動物として知られているが、これらのげっ歯類は日本国内には生息していない。今回の原因ウイルスは検索中であるが、当該船舶は南米から出航していることから、日本国内で本事例の原因となったハンタウイルスに感染する可能性は極めて低いと考えられる。

また、ヒト-ヒト感染はアンデスウイルスを除き報告されておらず、過去のアンデスウイルの感染事例においても適切な対応によりさらなる伝播抑制つながったことが示唆されており国内でヒト-ヒト感染により感染拡大する可能性は低いと考えられる。 

関連項目

参考文献

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