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HIV感染症/AIDS(後天性免疫不全症候群)

更新日 (last updated):2025年9月25日

概要

後天性免疫不全症候群(AIDS:acquired immunodeficiency syndrome)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を病原体とする感染症により、免疫不全が生じ、日和見感染症や悪性腫瘍等を合併した状態をいう。ここではHIV感染症全般について解説する。

主な感染経路は性的接触、血液感染、母子感染である。HIVは感染すると排除できないものの、 抗ウイルス薬で血中ウイルス量を抑制することにより、 免疫機能を維持・回復させるとともに、性的接触による他者への感染を防ぐことができる。

病原体

原因ウイルスはレトロウイルス科レンチウイルス属の1本鎖RNAウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV:human immunodeficiency virus)である。

疫学

全世界で4,000万人以上のHIV感染者がいると推定されている。

日本国内では年間約1,000人が新たに診断・報告され、その9割以上が男性である。現在は性的接触による感染がほとんどを占める。

感染経路

主な感染経路は、性的接触、血液感染、母子感染である。精液や膣分泌液・血液・母乳等に存在するウイルスが粘膜や傷口等から侵入することで感染する。

臨床像

感染後2から4週間程度で発熱や咽頭痛、皮疹、リンパ節腫脹といった急性期症状が出現する。未治療の場合、末梢血CD4陽性リンパ球数が徐々に減少し、数年から十数年程度の慢性感染期を経て、日和見感染症や悪性腫瘍等を合併し、AIDS発症期に至る。HIVが感染している状態に、23のエイズ指標疾患のいずれかを合併した場合に、AIDSと診断される。

病原体診断

血液からの抗体検出、抗原検出、ウイルス遺伝子検出、ウイルスの分離・同定による。

治療

2から3種類の抗ウイルス薬を組み合わせた抗レトロウイルス療法(ART)が行われる。ARTを継続することにより、血中ウイルス量をコントロールし、末梢血CD4陽性リンパ球数を維持・回復させることができる。それにより、他者への感染を防ぐことができる。

合併症に対しては各疾患に応じた治療が行われる。

予防法・ワクチン

性的接触による感染については、コンドームの使用、抗ウイルス薬による曝露前予防(PrEP)等が有効である。

母子感染については妊婦の早期診断・早期ART開始と周産期の母子感染対策が有効である。

国内で承認されたワクチンはない。

法的取り扱い

感染症法における、五類感染症の全数把握対象疾患に定められている。

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