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ハンタウイルス肺症候群のQ&A

本文書では、国内外の保健機関や研究機関が発表した公式文書に基づいた情報が記載されています。そのため、報道機関向け会見等での発表情報は含まれていません。 国内外の保健機関や研究者が調査中のため、本文書の公開日から情報が大きく更新されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。

更新日:2026年5月22日

目次

1.ハンタウイルスとはなんですか?

ハンタウイルスは、主にネズミなどのげっ歯類が媒介するウイルスのグループの総称で、複数のウイルス種が知られています。

 

主な感染経路は、病原体を保有するげっ歯類の排泄物を含む粉じんを吸い込むことや、直接の接触です。

ウイルス種によって、感染するげっ歯類の種が異なっているため、げっ歯類の分布地域によって、それぞれのウイルスの感染が起こる地域も異なります。

 

南北アメリカ大陸では、主にハンタウイルス肺症候群(HPS)を起こすウイルスのグループの感染が報告されています。ユーラシア大陸で報告されているのは、主に腎症候性出血熱(HFRS)を起こすグループのウイルスです。

なお、2026年にクルーズ船で起こったクラスター事例の原因であるアンデスウイルスは、HPSを起こすハンタウイルスの一種です。

ヒトに感染する主なハンタウイルスについて、発生地域、症状、感染経路などを比較した図。HFRSを起こすウイルス群は主にユーラシア大陸、HPSを起こすウイルス群は主に南北アメリカ大陸で報告されている。2026年のクルーズ船でのクラスターの原因であるアンデスウイルスは、HPSを起こすウイルス群の一種であり、ハンタウイルスとしては例外的にヒトからヒトへの感染が報告されている。

2.アンデスウイルスとはなんですか?

アンデスウイルスは、「ハンタウイルス肺症候群(HPS)」を起こすハンタウイルスの一種です。

主な感染経路は、病原体を保有するげっ歯類の排泄物を含む粉じんを吸い込むことや、直接の接触ですが、ハンタウイルスの中では例外的に、濃厚な接触があった場合にヒトからヒトへも感染が起こることが知られています。

 

アンデスウイルスを媒介するのはオナガコメネズミです。通常は、オナガコメネズミが生息する南米(アルゼンチンやチリ)でのみ、発生の報告があります。

 

2026年5月に、南米を出発したクルーズ船で起こった乗客と乗務員のクラスター事例は、このウイルスが原因です。

3.「ハンタウイルス肺症候群(HPS)」とは何ですか?

HPSは、ハンタウイルスと呼ばれるグループのウイルスが起こすヒトの感染症です。主に南北アメリカ大陸に分布するハンタウイルスが原因です。

発熱や咳、筋肉痛などの症状出現後、急速に進行し、呼吸不全や循環不全を起こすことがあり、死亡することもあります。

 

主な感染経路は、病原体を保有するげっ歯類の排泄物を含む粉じんを吸い込むことです。

4.ハンタウイルスは、どのように感染しますか?

主にネズミなどのげっ歯類から感染しますが、例外的にヒトからヒトに感染するウイルスとして、アンデスウイルスが知られています。

 

げっ歯類からの感染は、感染したげっ歯類の尿や糞で汚染された粉じんを吸い込む、咬まれる、ウイルスに汚染された手などで目・鼻・口に触れる、などによって起こります。

 

アンデスウイルスによるヒトからヒトへの感染は、飛沫を吸い込んだり、直接接触することなどで起こりますが、濃厚な接触があった場合に限られます。これまでの事例は、いずれも適切な管理などによって感染が収まったことが知られています。

5.ハンタウイルスはヒトからヒトへ感染しますか?

ハンタウイルスのうち、例外的にアンデスウイルスでのみ、ヒトからヒトに感染が起こることが知られています。

 

ヒトからヒトへの感染は、飛沫を吸い込んだり、直接接触することなどで起こりますが、濃厚な接触があった場合に限られます。これまでの事例は、いずれも適切な管理などによって感染の拡大が収まったことが知られています。

6.「ハンタウイルス肺症候群(HPS)」は、どのような症状が出ますか?

症状は、発熱、頭痛、悪寒、関節痛、筋肉痛、結膜充血、腹痛、下痢、嘔吐などから始まります。数日後に咳や低血圧が現れ、重症化すると呼吸不全や循環不全となり、死亡することがあります。

 

感染してから症状が出るまでの期間が1週間から7週間程度(通常約2週間)と長く、重症化して死亡する割合は10%から50%程度という報告がありますが、原因となるウイルスの種によって異なります。

7.ハンタウイルス肺症候群(HPS)にワクチンや治療薬はありますか?

現時点で、HPSのワクチンや特異的な治療薬はありません。症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。

8.ハンタウイルス肺症候群(HPS)はどこで発生していますか?

通常、南北アメリカ大陸でのみ発生している感染症です。日本ではこれまでに報告がありません。

 

2026年5月に、南米を出発したクルーズ船で、アンデスウイルスによる乗客・乗務員でのクラスター事例が発生しています。

9.ハンタウイルス肺症候群(HPS)が日本国内で発生する懸念は、現時点でどのくらいありますか?

現時点では、日本国内でHPSが発生するリスクは高くありません。

 

HPSを起こすハンタウイルスは、ウイルスの種ごとにそれぞれ媒介する動物(ネズミなどのげっ歯類)の種が決まっています。HPSを引き起こすウイルスを媒介する動物は日本に生息していないため、動物からこれらのウイルスに国内で感染する可能性はほとんどありません。

 

例外的にヒトからヒトへの感染も起こすウイルスとして、アンデスウイルスが知られていますが、これまでに国内で発生した報告はありません。

また、アンデスウイルスのヒトからヒトへの感染は、濃厚な接触があった場合に限って起こると考えられており、広く流行する懸念は強くありません。

10.国内のげっ歯類がハンタウイルス肺症候群(HPS)を引き起こすウイルスに感染する懸念はありますか?

日本国内に生息していることが確認されているげっ歯類については、HPSを引き起こすウイルスに感染する可能性はほとんどありません。

 

ハンタウイルスは、ウイルスごとに媒介するげっ歯類が異なっています。現在、HPSを引き起こすハンタウイルスを媒介するげっ歯類は日本国内に生息していません。

11.ハンタウイルス肺症候群(HPS)の発生が報告されている地域に旅行する場合に、注意することはありますか?

流行地域においてはげっ歯類やその排泄物との接触を避けること、尿や糞で汚染された粉じんを吸わないようにすること、食品はふたなどをしてげっ歯類に汚染されないよう適切に保管することで、感染リスクを低減させることができます。また、手洗い、マスク着用、咳エチケットなどの基本的な感染対策も有効です。




このQ&Aは、国立健康危機管理研究機構の以下の文書等に基づいて作成したものです。

 

国外航行中のクルーズ船におけるハンタウイルス感染症事例について (最終閲覧日:2026年5月22日)

ハンタウイルス肺症候群(詳細版) (最終閲覧日:2026年5月22日)

腎症候性出血熱(詳細版) (最終閲覧日:2026年5月22日)

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