麻しんQ&A〔麻しん(ましん、はしか)について〕
最終更新日:2026年4月21日
麻しんQ&A
各カテゴリ内の質問項目は順次変更される予定です
〔2026.04.21更新〕
Q1.麻しん(ましん、はしか)について(このページ)
Q2.麻しんのサーベイランスシステムと今年の流行について→
Q3.医療機関での麻しんの対応について→
Q4.海外での麻しんの状況→
Q1:麻しん(ましん、はしか)について
- Q1-01 麻しんはどのように感染しますか
- Q1-02 麻しんにはどのような症状がありますか
- Q1-03 麻しんの予防方法について教えてください。マスクをすれば防ぐことができますか
- Q1-04 麻しんでは合併症を起こすことも多いと聞きました。麻疹の合併症にはどのようなものがありますか
- Q1-05 修しん麻疹とはどんなものですか
Q1-01:麻しんはどのように感染しますか
麻しんは麻しんウイルス(Paramyxovirus 科 Morbillivirus属)によっておこる感染症で、ヒトからヒトへ感染します。感染力はきわめて強く、麻しんの免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12人から18人が感染するとされています(インフルエンザでは1人から2人)。患者の咳やくしゃみを直接浴びた場合だけでなく、空気中を漂うウイルス粒子を吸い込むだけでも感染が成立します。
不顕性感染(感染しても発症しない=症状がでない)はほとんどなく、感受性者(麻しんに対して免疫が不十分な者)が感染すると90%以上の人が発症します。
発症した人が周囲に感染させる期間は、症状(Q1-02)が出現する1日前(発疹出現の4日前)から発疹出現後4日目くらいまでで、発疹出現前のカタル期(Q1-02)に最も感染力が強くなります。
Q1-02:麻しんにはどのような症状がありますか
麻しんの経過は通常、カタル期(前駆期)、発疹期、回復期の順に進みます。
麻しんウイルスの感染後、10日から12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症します。38℃前後の発熱が2日から4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、カタル症状(咳、鼻汁、くしゃみなどの上気道症状と結膜充血、目やになどの結膜炎症状)が現れて次第に強くなります。乳幼児では消化器症状として、下痢、腹痛を伴うことも多くみられます。発疹が現れる1~2日前ごろに頬粘膜(口のなかの頬の裏側)にやや隆起した1mm程度の小さな白色の斑点(コプリック斑)が出現します。コプリック斑は麻疹に特徴的な症状ですが、発疹出現後2日目を過ぎる頃までに消失します。また、口腔粘膜は発赤し、口蓋部には赤い斑点状の粘膜疹がみられ、点状出血(溢血斑)を伴うこともあります(「カタル期」あるいは「前駆期」)。
その後、体温は一旦下がりますが(1℃程度)、その後半日くらいのうちに、再び高熱(多くは39℃以上)が出るとともに、発疹が出現します。発疹は耳後部、頚部、前額部から出始め、翌日には顔面、体幹部、上腕に及び、2日後には四肢末端にまで広がります。発疹ははじめ鮮紅色で扁平ですが、次第に隆起、融合して不整形斑状(斑丘疹)となります。次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色します。この時期には高熱が続き、カタル症状が一層強くなります(「発疹期」)。
発疹出現後3~4日で解熱し、全身状態は回復し、カタル症状も軽快します。発疹は黒ずんだ色素沈着となり、しばらく残ります。合併症のないかぎり7~10日後には主症状は回復します(「回復期」)。
一方で、リンパ球機能の低下などにより免疫力が低下するため、その後数か月から数年にわたり、他の感染症への罹患や重症化のリスクが高まります。
Q1-03:麻しんの予防方法について教えてください。マスクをすれば防ぐことができますか
麻しんの感染経路は、空気(飛沫核)感染、飛沫感染、接触感染です。
麻しんウイルスは粒子の小さな飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染することから、サージカルマスクでは十分に予防できません。
最も有効な予防方法は、ワクチン接種によって麻しんに対する免疫をあらかじめ獲得しておくことです。
Q1-04:麻しんでは合併症を起こすことも多いと聞きました。麻疹の合併症にはどのようなものがありますか
麻しんは発熱、咳、鼻汁、結膜炎、発疹を主症状とする感染症ですが、しばしばさまざまな合併症を伴います。特に乳幼児、妊婦、麻しん含有ワクチンを打っていない成人、免疫不全者では注意が必要です。合併症による肺炎、脳炎は、麻しんによる二大死因となっています。
肺炎には、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎の両方があります。麻しんに感染した小児の約20人に1人が肺炎になるとされています。
麻しんを発症した1,000例に0.5~1例の割合で脳炎を合併し、けいれん、意識障害を生じ、難聴、知的障害といった後遺症を残すことがあります。
さらに、麻しん罹患後7~10年後に発症しうる、進行性・致死的な中枢神経疾患である亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがあります。SSPEでは、知的障害、運動障害が徐々に進行し、ミオクローヌスなどの錐体・錐体外路症状を示します。発症から平均6~9カ月で死の転帰をとる、進行性の予後不良疾患です。発生頻度は、麻しん罹患者10万例に1例とされています。
その他、中耳炎や気管支炎も伴うことがあります。
Q1-05:修飾麻しんとはどんなものですか
麻しんに対する免疫は持っているけれども不十分な人が、麻しんウイルスに感染した場合、軽症で非典型的な麻しんを発症することがあります。このような場合を「修飾麻しん」と呼んでいます。
例えば、潜伏期が長い、高熱が出ない、発熱の期間が短い、コプリック斑が出現しない、発疹が手足だけで全身には出ない、発疹は急速に出現するけれども融合しないなどです。通常合併症は少なく、経過も短いため、風しんなど他の発疹性疾患と誤診されることもあります。修飾麻しんの感染力は弱いものの、濃厚接触した感受性者の感染源になり得るので注意が必要です。
修飾麻しんは、以前は母体由来の移行抗体が残存している乳児や、ヒトガンマグロブリン製剤を投与された患者に見られることがありました。最近では、麻しんワクチン既接種者が、その後、麻しんウイルスに曝露されるといったブースター効果(免疫増強効果)が得られないまま、体内での麻しん抗体が減衰して麻しんに罹患する事例が見られることがあります〔このような事象をSecondary Vaccine Failure(SVF)と呼びます〕。
