新型コロナウイルス感染症
更新日 (last updated):2025年4月28日
概要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を病原体とする感染症である。多様な症状と高い感染性を特徴とする。
病原体
原因ウイルスは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)である。コロナウイルス科ベータコロナウイルス属に属しており、変異によって感染性や抗原性が変化した様々な系統のウイルスが出現している。
疫学
2019年12月に中国から初めての報告があったのち、世界的な流行(パンデミック)を引き起こした。日本では2020年1月に初症例が確認され、その後複数回の流行の波を経験してきた。高齢者を中心に重症例・死亡例が多く報告されている。2023年5月、世界保健機関は新型コロナウイルス感染症の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了した。
感染経路
感染経路は、主にエアロゾル感染、飛沫感染、接触感染である。発症前から感染性を有し、無症候性病原体保有者も感染源となる。
臨床像
潜伏期は1から14日(平均5から6日)間で、症状は発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害、下痢など多様である。多くは軽症であるが、高齢者や基礎疾患を持つ者は重症化しやすい。急性期の症状にかかわらず、倦怠感、呼吸困難、味覚・嗅覚障害、脱毛などが2から3カ月間長引くことがある。 感染者の20%程度は無症候性病原体保有者であると考えられている。
病原体診断
診断はウイルス遺伝子の検出及び抗原の検出による。
治療
承認された抗ウイルス薬がある。重症例の治療および重症化予防として抗ウイルス薬が用いられる。重症例では人工呼吸管理などの集中治療がおこなわれる。
予防法・ワクチン
飛沫予防策、接触予防策が有用である。これに加えて、病院においてエアロゾルが発生する処置を行う場合には空気予防策が求められる。 新型コロナワクチンが国内で承認されており、特に重症化予防に重要である。
法的取り扱い(感染症法、学校保健安全法など)
2020年1月に指定感染症に指定されたのち、新型インフルエンザ等感染症への変更を経て、2023年5月に五類感染症の定点把握対象疾患に定められている。
学校保健安全法では第二種感染症に定められている。
病原体検出マニュアル
- 病原体検出マニュアル 「新型コロナウイルス感染症」(2020年3月19日更新)
- (英語版)Manual for the Detection of Pathogen 2019-nCoV Ver.2.6(PDF:514KB)(February 17, 2020)
- 血清学的検査マニュアル「 COVID-19血清学的検査マニュアル(PDF:172KB)」(2020年6月12日掲載)
関連情報
- SARS-CoV-2変異株について(過去のデータ)
- SARS-CoV-2変異株について
- メインプロテアーゼ領域RNAを標的とした抗SARS-CoV-2ギャップマー型アンチセンス核酸
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する治療薬の 効果に影響を及ぼす可能性がある ウイルスゲノム変異によるアミノ酸置換について(第6版)
- 新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報:発生動向の状況把握
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株 KP.3系統について
- 小児における検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有状況実態調査 報告
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株 JN.1系統について
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株 BA.2.86系統について 第2報
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株 BA.2.86系統について
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株 EG.5.1系統について
- 2022年度新型コロナウイルス感染症に対する血清疫学調査報告
- 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年8月4日現在)
- 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年7月7日現在)
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する治療薬の 効果に影響を及ぼす可能性がある ウイルスゲノム変異によるアミノ酸置換について(第5版)
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する治療薬の 効果に影響を及ぼす可能性がある ウイルスゲノム変異によるアミノ酸置換について(第4版)
- 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年6月16日現在)
- 2023年2月における献血検体を用いた既感染割合に関する分析
- 新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報:発生動向の状況把握
- 新型コロナワクチンの重症化予防効果を検討した症例対照研究の暫定報告: デルタ流行期~オミクロン流行初期における有効性
- 新型コロナウイルス感染症の病理解剖業務における感染予防策の考え方
- 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第27報)
- 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年4月19日現在)
- 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年4月5日現在)
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する治療薬の効果に影響を及ぼす可能性があるウイルスゲノム変異によるアミノ酸置換について(第3版)
- 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第26報)
- 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第25報)
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する治療薬の効果に影響を及ぼす可能性があるウイルスゲノム変異によるアミノ酸置換について(第2版)
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する治療薬の効果に影響を及ぼす可能性があるウイルスゲノム変異によるアミノ酸置換について(第1版)
- 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について(第24報)
- 新型コロナワクチンについて
- SARS-CoV-2変異株について(過去のデータ)
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- SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第7報)
- SARS-CoV-2変異株について
- 国立感染症研究所で分離に成功したSARS-CoV-2新規変異株VOC-202012/01等の電子顕微鏡写真
- 新型コロナウイルス感染症 病原体検出マニュアル
- 新型コロナウイルス抗体保有状況2022
- 国立感染症研究所で分離に成功したSARS-CoV-2 B.1.1.529(オミクロン)系統の電子顕微鏡写真
- 国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真
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